前回は、五行類型論(体癖)と季節の関係から、季節の養生と、体癖別の得意な季節や気を付けたい季節についてお話をしました。
五行類型論(体癖)の活かし方(健康・病気編)において、中医学の生理学は季節と密接に関連することから、体癖と季節も密接に関係し、季節の過ごし方も、体癖によって異なってくることが予想されますので、大いに活用できると思っています。
日々の生活の中で体癖は、個人の生活スタイルや活動特性として現れ、その特徴は、その人の才能でもありますが、偏った活動により生じる疲労の原因になっているとも言えます。
なので今回は、その偏りによって生じた体や生理機能の疲労の取り方について考察したいと思います。
野口晴哉氏は、体癖が個人の特性であると同時に体の癖からくる偏った運動によって疲労することから、体操により解消することを勧め、自身が考案した生体体操を紹介されています。
この整体体操は、1日の終わりの寝る前に、偏った動きによって生じた筋肉疲労を解消するための運動です。
整体体操については、野口晴哉氏の著書「整体入門」(たにぐち書店)に掲載があります。
私の場合2種ですので実際に「2種の整体体操」を行ってみましたが、なかなかうまく行うことができずに、その効果をまだ実感するまでには至っていませんが、是非みな様も参考にされてみてください。
竹下雅敏氏は、東洋医学セミナーで『体の異常がどの経脈に強く顕れるかは、五行類型論に基づく個人の体質が大きな関与している』と言及されています。
また、強く異常が顕れる経脈がどれなのかを判別する方法やその原因経脈を調整する方法を、東洋医学セミナーの初級第4回「陰陽五行説」で提示されています。こちらの方も是非参考にされてください。
また薬剤師で鍼灸師でもある織田啓成氏は、病気や症状の原因となっている臓腑や経脈を陰陽五行理論により見つけ、手の反射区を用いた対処法を、著書「手の反射療法」(織田啓成著、たにぐち書店)で提示されています。
この手の反射区を用いた対処法について、五行の生理機能をそれぞれ『肝・ストレス系』、『消化器系』、『呼吸器系』、『泌尿器系』、『婦人科・循環器系』の5つに分けて説明されています。
その中で『下記の運動を行った際に、違和感があったり左右差がある場合に、その運動に対応する生理機能系に疲労が見られる』と仰っています。
『肝ストレス系は、口を大きく開ける運動と首を左右に倒す運動』
『消化器系は、首を左右に捻じる運動と両手を耳に付くように上げる運動』
『呼吸器系は、首を後に倒す運動と両肩を後ろに引き寄せる運動』
『泌尿器系は、首を前に倒す運動と手のひらを下に腕を水平に広げて両手首を下に倒す運動』
『婦人科・循環器系は、両肩を挙げる運動と手の親指と小指を結ぶ運動』
この内容について私も試してみましたが、確かに私の五行類型論(体癖)に基づく疲労とよく対応するように感じました。
私の体癖が2種-8種で、2種(1項目:活動時)の肝経脈系優位体質と8種(2項目:休息時)の腎経脈系優位体質とを持っていますから、肝経脈系(主に活動時)と腎経脈系(主に休息時)がよく疲労します。
1項目が2種の私は、この原稿を書いているように、日中に思考力を駆使して仕事をしていることが多く、続けて何時間も行うとどうしても頭が疲れてきます。頭が疲れてくると全身が疲れたように感じます。
また2項目が8種の私は、活動とは直接関係ない要因(雨の日などの湿度が高い状態)において、泌尿器系の働きが夜間も含め1日悪く、体の水分(津液)代謝が上手くできないようで。体がだるくなります。
8種は腎経脈系が優位な体質なので泌尿系の機能に優れているのかと思いきや、偶数体癖なので緊張時は上手く働かず、特に2項目では主に休息時に機能する体質なので、湿気に弱いということが起こるのだと思います。
なので上述の肝・ストレス系の首を左右に倒す運動を行うと、右には良く倒れますが左にはあまり倒れないのです。
また上述の泌尿器系の両手を広げて手首を倒す運動を行うと、右には良く倒れるのに左にはあまり倒れないのです。
これは、疲労することによって繰り返しよく起りますので、五行類型論(体癖)の判定の参考になるかもしれません。
この観点から各五行類型論ごとに起こる違和感を下記のようにまとめてみましたので、できたらみなさまに確認の実験を行っていただいて、感想などをコメントしていただけたらありがたいです。
1種は、口を大きく開けると左右どちらかに違和感がある。
2種は、首を左右に倒すと左右差がある。
3種は、腕を耳につけて挙げると左右差がある。
4種は、首を左右に捻じると左右がある。
5種は、首を後ろに倒すと左右どちらかに違和感がある。
6種は、肩を後ろに引き寄せると左右差がある。
7種は、首を前に倒すと左右どちらかに違和感がある。
8種は、腕を広げ手首を下に倒すと左右差がある。
9種は、両肩を挙げると左右差がある。
10種は、両手で小指と親指を結ぶと左手と右手で差がある。
これは、あくまで仮説ですので、これから検証していければと思っております。
主に活動特性である優位な生理機能(五行類型論の1項目)を酷使することによって体は毎日疲れますので、五行類型論の1項目に係る優位な臓腑に対応する手の平の反射区を、刺激することによって回復させようと考えました。私も行っていますが、皆さまも是非試してみてください。
以下に手の五行類型論(体癖)別の反射区を示します。なお、下図は、「手の反射療法」(著者:織田啓成著、たにぐち書店)に掲載された手の反射区図と「指ヨガ健康法」(著者:龍村修、日貿出版社)に掲載された手指と全身の相関関係図を参考にして、私が考察して作成したものです。
各五行類型論(体癖)と反射区の関係は以下の通りです。なお、右手も全く同じ配置となります。
1種の方は、主に胆に関連する反射区
2種の方は、主に肝に関連する反射区
3種の方は、主に胃に関連する反射区
4種の方は、主に脾に関連する反射区
5種の方は、主に大腸に関連する反射区
6種の方は、主に肺に関連する反射区
7種の方は、主に膀胱に関連する反射区
8種の方は、主に腎に関連する反射区
9種の方は、主に小腸に関連する反射区
10種の方は、主に心に関連する反射区
ご自分の五行類型論(体癖)の1項目に相当する反射区を30秒から2分ほど刺激を与えていただいて、その効果を試してみてください。
ただし私の経験による注意事項としまして、各運動で左右差を見た時に違和感や運動制限があった側と同じ側の手のひらに刺激を与えるようにしてください。
右側に違和感や運動制限があった場合は右手、左側にあった場合は左手となります。
私の場合は、1項目が2種で、左側によく疲労し運動制限を感じましたので、左手のひらに刺激を入れて行いましたがかなり効果があり、しかも対応する運動においても生じていた左右差も改善されることを確認しました。
みな様もご自分の五行類型論(体癖)の1項目に対応する反射区を試していただいて、その効果と対応する運動の左右差を確認してみてください。
ただし、五行類型論(体癖)の活かし方(健康・病気編に)おきまして、手の反射区を利用した疲労の解消法を今回ご紹介しましたが、これはあくまでその日の疲れを取る為のものです。
前述しましたように「なぜ健康が損なわれるか」というのは、「邪気や毒素の体内蓄積」です。
ですからこの原因が存在する限り、健康であり続けることは難しいと思われますので、是非日頃から「邪気や毒素」を貯めないように注意されることをお薦めいたします。
最後に、複数回に亘って五行類型論(体癖)の活かし方(健康・病気)について書いてきましたが、これ以外にも五行類型論(体癖)を理解することで健康や病気においていろいろと有意義な活用方法があると思いますので、今後も研究していきたいと思っています。
宜しかったら、コメントお願い致します。